光カートリッジとは

光カートリッジとは?

・光カートリッジの基本的な原理とMC/MMカートリッジとの違いとは


まずは光カートリッジとMM/MCカートリッジの検出原理の違いについて説明致します。
MM/MCカートリッジも光カートリッジもどちらも針を通してレコード溝を読み取ることは同じですが、通常のMM/MCカートリッジは磁界の中でマグネット(またはコイル)が振動することで音楽信号を検出します。
一方光カートリッジは、LEDとPD(太陽電池)を使い、影の変化(明るさの変化)を捉えることで音楽信号を検出します。
MM/MCカートリッジは磁界を切ることで発電する為、マグネット(またはコイル)が動く際に必ず磁気抵抗が発生してしまいますが、光カートリッジは明るさの変化(影の動き)を検出しているだけなので振動系が動く際の磁気抵抗が一切発生しません
その為振動系にかかる負荷が少なく、針先がスムースに動くことが出来る。
これが光カートリッジの原理的な一つ目のメリットになります。

またMM/MCカートリッジは音楽信号を検出する為にマグネットまたはコアとコイルを動かさなければなりませんが、光カートリッジの場合はわずか100ミクロンの厚みの薄い遮光板を動かすだけで良いため実行質量が極めて軽いというメリットが2つ目の光カートリッジの原理的なメリットになります。

MM/MC カートリッジ光カートリッジ
磁気抵抗ありなし
実効質量重い軽い


・光カートリッジの検出原理とは?

ここで光カートリッジの検出原理をもう少し細かく説明致します。
光カートリッジは赤外線LEDと遮光板と2つのPD(太陽電池)を使い針の動きを検出します。
動作原理は至って簡単でLEDの前で遮光板が振動し、その後ろにあるPD(太陽電池)が明るさの変化を検出します。

ここで明るさの変化からどのようにL,Rチャンネルの信号を独立して検出するかを説明致します。
右の写真はLEDがある位置から遮光板と太陽電池を見た図となりますが、レコードの溝が振動(斜め45度方向)すると振動は針先からカンチレバーに伝わり遮光板も共に振動します。
遮光板が正面のLEDの光を遮るような形で振動することで、PD(太陽電池)へ入る明るさは、明るい→暗い→明るい→暗いと連続的に変化します。
そしてPD(太陽電池)はその明るさの変化=レコード盤の溝の動きを電圧変化としてそのまま出力します。

その際に逆のPD(太陽電池)側は遮光板の動きが平行移動となることで太陽電池の明るさは変化しない為、一つの遮光板で左右2チャンネルのオーディオ信号を検出をすることが可能になっております。この基本的な検出原理は40年前の光電式カートリッジと全く同じです。
ここでご理解頂きたいのはPD(太陽電池)の出力は遮光板の動き=レコード盤の動きそのものをそのまま電圧変化として出力しており、一切デジタル化などといったことはされていない完全なアナログサウンドであるということです。

 

MM/MC cartridgeOptical cartridge
出力アナログ アナログ

 

・専用イコライザーが必要な理由

光カートリッジではMM/MC用のフォノイコライザーを使用することは出来ず、DS Audioの光カートリッジ専用のフォノイコライザーを使用して頂かなければなりません。
その理由は以下の2つの理由です。

カートリッジにLEDを使用している関係上カートリッジに対して電源供給が必要であるが、その電源供給をイコライザーから行なっているため

光カートリッジのLEDへの電源供給はトーンアームのグランド(青色と緑色のライン)を使って電源供給しております。
その為光カートリッジをご使用頂くにはトーンアームの4本のケーブルがきちんと独立していることが必須となります。
(現在市場で流通しているほとんどのアームは問題ありません。)

RIAA補正に必要な電気回路がMM/MCカートリッジのものと全く異なるため

MM/MCカートリッジの出力は速度に比例する速度比例型の為速度の上がるごと(=高い周波数になると)に出力が増加します。しかし光カートリッジ(昔のクリスタル型やコンデンサ型も同様)はレコードの溝の動きをそのまま出力する振幅比例型出力であるため低い周波数から高い周波数までフラットに出力します。
このように振幅比例型に分類される光カートリッジは、速度比例型であるMM/MCカートリッジとは出力形態が異なるため仮に同じレコードを読み取ったとしても全く異なる出力が得られます。その為当然RIAA補正に必要な電気回路も振幅比例型カートリッジ用のRIAA補正回路と速度比例型カートリッジ用のRIAA補正回路は異なったものとなってきます。これが光カートリッジを使用する際に専用のフォノイコライザーが必要となってしまう2つ目の理由になります。

なお振幅比例型の光カートリッジは低い周波数から高い周波数まで溝の動きをそのままフラットに出力できる為、光カートリッジのRIAA補正回路は速度比例型のRIAAイコライザー回路に比べて圧倒的にシンプルな回路となります。
フォノイコライザーカーブの補正回路がMM/MC用のフォノイコライザーに比べて圧倒的にシンプルな回路に出来ることこれも光カートリッジの大きなメリットの一つとなっております。

 

・40年前に発売されていた光電式カートリッジとDS Audio光カートリッジの違いについて


ご存知の方も多いかとは思いますが、今から40年以上前にも東芝、シャープ、トリオ、ケンウッドなどから光電式カートリッジは製品化されていました。
一度製品化された光電式カートリッジが姿を消してしまったのは、発売された1970年代は大手会社の開発資源がアナログからCDへの移行したことが一番大きな理由かとは思いますが、過去の光電式カートリッジにはどうしても克服できなかった一つの課題がありました。
それは「熱」の問題です。
今から40年前には現在のようにLEDなどはなく、光電式カートリッジに使用できる光源はランプしかありませんでした。
このランプを光らせると大量の熱を放出し、その熱がカートリッジのダンパーゴムを暖めてしまうことで時間が経つにつれてダンパーゴムがどんどん柔らかくなってしまいコンプライアンスが変化してしまう(音色が変化していってしまう)という問題がありました。この問題を克服する為に各社様々な工夫をしていたようですが抜本的な解決策は見つからないまま光電式カートリッジは姿を消してしましました。しかしこの頃から磁気から解放された光電式カートリッジのクリーンで鮮度の高い音質自体は非常に高く評価されており、その後40年以上に渡り「伝説の銘機」として語り継がれて来ました。

C-100P の内部の光源(ランプ)が発光している様子

ここで何故DS Audioが40年の時を経て光電式カートリッジを復活させられたかというと、一番大きな理由は40年間の間に発光素子、受光素子共にデバイスが大きく進化したことです。
現在は40年前と違い非常に小型で高出力なLEDを使用出来る為昔のように熱の問題が発生しません
(家庭の電気でも蛍光灯の頃の電球は熱かったかと思いますが、LED電球にすれば熱くならないのと同じイメージです)
そして光源の波長にしっかり感度特性の合った高感度なフォトダイオード(光源の波長でもっとも感度が良く動作する受光素子)を使用出来る為、非常に高い出力(約40mV)を取り出すことが可能となっております。
光カートリッジの出力は約40mVとMM/MCカートリッジと比較すると約10倍〜100倍にもなる高出力を得られる為、トーンアーム内を微弱電流で通す必要がない点もMM/MCカートリッジにない大きな魅力の一つとなっております。

40年前の光電式カートリッジDS Audio の光カートリッジ

光源ランプ赤外線LED
受光素子フォトトランジスタ感度特性の適切に合ったフォトダイオード

昔から音質自体の評価は高く伝説の銘機と語り継がれてきた光電式カートリッジですが、上記のようにようやく光電式カートリッジの真価を発揮できるような時代背景が整ったことで現代に光電式カートリッジが蘇りました。現代に蘇った「伝説の銘機」の音を是非一度ご体感ください。

 

DS-Audio(clear)